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2009年10月30日金曜日

ものづくり日本の活路

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中小機構が開催するセミナー「ものづくり日本の活路」に参加してきました。
講師は株式会社東レ経営研究所の増田貴司氏です。

2008年秋のリーマンショック以来、急激に悪化する経営環境を経て、
各国の経済刺激策により落ち着きを取り戻しつつある過程を
経済指標で追うことから講義は始まりました。
先進諸国の中でも、大幅な通貨高に見舞われた日本の製造業にとって
非常に厳しい状況であることが見て取れます。

このような未曾有の製造不況に対して、日本の「ものづくり」は
どのような方向を目指すべきかということが、今回のテーマです。

ポイントは3つありました。
1つ目は、今後成長が見込める新興市場に打って出ることです。
先進諸国が向こう数年間、低い成長率を強いられる中、
インドや中国、ロシアやアジア諸国で高い成長率が見込まれます。
既に体力のある企業は、2009年前半からそれらの国々に対して
大幅に直接投資を増やしています。

2つ目は、人材に投資し、安く作る技術を確立することです。
不況期は中小企業でも優秀な人材を確保しやすく、従業員に
対しても教育により人材を育成する好機です。
また、技術の先進性を追い求めるだけでなく、事業として利益を
もたらす「安く作る技術」の開発に取り組むことが重要です。

3つ目は、ビジネスモデルを見直すことです。
「よいものを作れば売れる」というように付加価値の源泉を
製造だけに限るべきではありません。
マーケティングからアフターサービスまでビジネス全体を考えて、
自社の技術力をどのように事業としての成功に導くか、
考えをめぐらせる時期ととらえることです。

これからの世界経済は、成熟した先進諸国よりも新興国が
需要を牽引する主役になると考えられます。
新たな経営環境に対応できる「ものづくり」を日本は
考えていかなければなりません。

そして、各企業は総花的な施策とならないよう、企業にあった
個別戦略による事業革新の取り組みを行わないと、
成長する新興国のと競争で日本の製造業が優位に
立つことは、難しいと言わざるを得ません。
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2009年10月20日火曜日

さらばアメリカ

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立て続けに、読んだ本の紹介が続いています。

今度は、大前研一氏著の「さらばアメリカ」です。
ここ1年半ほど、経済、政治は大きな変化を遂げています。
9.11テロを乗り越えて世界経済が絶頂を迎えた後、
サブプライムローン問題が表面化し、リーマンショックで
金融・世界経済は大打撃を受け、アメリカは民主党の
オバマ政権が誕生しました。

ブッシュ前大統領のアメリカ1国主義からの方針変換と
経済危機からの脱却を目指してグリーンニューディール
政策を掲げています。

戦争(テロ)と経済活動で傷んだアメリカが、今年は
オバマ大統領のもと大きな方針転換を図る歴史的な
年となるかもしれません。

本では、世界の行く手を楽観的に捉えている訳では
ありませんが、アラブ、イスラム、EU、アジアの動きを
読み解いていっています。EuroがUSドルと並んで、
国際基軸通貨になっていくのか、注目したいところです。
また、テロ対策を含むアメリカの利権構造を鋭く指摘し、
「アメリカ自身が’テロリスト製造機’」という主張には
テロ対策は根源を絶たなければ事態は収束しないという
強いメッセージが込められています。
世界の共通仮想敵は環境破壊者だという氏の思いは、
是非実行のある形で実現してほしいと願います。

今後の世界動向を考察する、とても中身の濃い1冊でした。
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2009年10月19日月曜日

バイトでも億稼ぐ

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従業員(社員)のモチベーションを上げるのは、経営者にとって
非常に重要な課題です。また一時的にモチベーションが上がっても、
それを維持し、発展し続けるのは尚の事、難しいものです。
この本は、いささかのヒントを与えてくれます。

人は生活の糧として、報酬を得る以外にも様々な動機で
動いています。むしろ、報酬以外の何かを与えてくれる仕事(企業)に
対して、アルバイト、正社員を問わず人は夢中になり、
活性化された組織となっていくものです。

本では、
セブンイレブンはアルバイトに発注業務を任せて結果を
知らせる事により、仮説、実行、検証のサイクルを自ら回して
経営に参加している、
ディズニーランドはマニュアルにとらわれない顧客本位の
接客で、アルバイトでも他人の喜びを自分の喜びとすることを
是として取り組んでいる、
リクルートは社長アポ取りを経験し、社内の成功者の行動様式を
学び、経営者の視点から考える姿勢を育むことで自己実現欲を
満たしていく、
などの事例を挙げています。

中でも松戸の新聞配達員がお客様に感謝されるストーリーは、
とてもためになりました。配達員のモチベーションを上げるために、
社長は配達員にクリスマスの日、サンタクロースのコスチュームで
子供にプレゼントを渡すサービスを行います。訪問する家々で
家族みんなから感謝された配達員は、自分の仕事そして
人生に自信を持ち始めて、職場の雰囲気が変わり始めました。
配達業が接客業に変わった瞬間です。

社長が社員を鼓舞するのは当然ですが、このような方法を
巧みに取り入れて、仕事に感動を生む仕組みを考えることも
1つのやり方だと思います。事例に挙げられた企業は、様々な
取り組みの集大成として、現在の成功がありますが
そこに向かうモメンタムは大きな志と小さなきっかけから
動き出すものです。

中小企業では、この小さなきっかけ作りがとても重要になります。
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2009年10月13日火曜日

日本でいちばん大切にしたい会社

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坂本光司氏著の「にほんでいちばん大切にしたい会社」という本を

読みました。6,000社を越える企業研究から会社経営のあるべき姿を、

ステークホルダーの支持を得て業績を上げていく「社会になくては

ならない会社」としています。


本では、
日本理化学工業株式会社
伊那食品工業株式会社
中村ブレイス株式会社
株式会社卯月
杉山フルーツ
が挙げられています。それぞれの会社が、製品の品質・安全は
もちろんのこと、働く人の幸福達成や地域への貢献を実践し、
そのエピソードを交えて紹介されています。

紹介されている会社は規模こそ大きくありませんが、中小企業の
目指す方向性を示唆しています。
それは、ニッチ市場で顧客満足度を高め、オンリーワンに
なるというものです。
そのためには経営の軸をぶらすことなく、時には感動を与えて、
会社の熱烈なファンを作ること、このようなポジショニングが出来れば
類似サービスで後発者が追い越すことは並大抵な
ことではありません。そして、そのポジショニングを常に
見直して、後発者が入り込む隙を与えないこと、それが
企業の継続性になります。

成長よりも継続を意識した経営について、考えさせられる内容の
本でした。
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